先月のラムゼイ・ルイスに続きまたも、ジャズ界のレジェンド、伝説のサックス奏者ファラオ・サンダースの訃報が届きました。
晩年のジョン・コルトレーン・バンドに参加し、師コルトレーンの精神性、前衛性を引継ぎながらアフロやファンクなど様々な音楽へのアプローチも見せ唯一無二のスタイルを確立したスピリチュアル・ジャズの巨匠。
昨年も若きUKのDJ・プロデューサー “フローティング・ポイント” との共作アルバムを発表しその内容の素晴らしさに称賛を受けたばかりであったファラオ・サンダース。
私がファラオ・サンダースの名前を知ったのは20代前半の頃。
そして初めて聞いたファラオ・サンダースの曲は『You’ve Got To Have Freedom』。
ジャズ喫茶で青春時代を過ごされた先輩ジャズ・マニアのお兄様方とは違い、私は十代の頃はロックやニューウェーブ といった洋楽に夢中でその内現れたHIP HOPに衝撃を受けその源流であるソウルやファンク、そしてイギリスで再評価の気運が高まったジャズへとどっぷりハマっていったような類の者なのですが、
小学生の頃からレコードを買い始めて今やとっくに50代を超えてしまった私の人生において、多くはないですが何度か音楽で衝撃を受けるという事がありました。
前述のHIP HOPの出現にも大きな衝撃と影響を受けましたが、この曲もそう。
とあるお店で大音量でかかっていたこの曲。
激しく荒々しくブロウする彼のテナー、しかしながらそのブローの奥には優しく包み込まれるような多幸感を感じ、高い次元に精神を連れて行ってくれるような、心の琴線に触れ、心を揺さぶられるような、稀な感覚を感じました。
その後の人生における私の音楽の方向性を決める1つになったことは間違い無いです。
長年のジャズ・ファンの方々からの評価は知りませんが、オーネッット・コールマンが「おそらく世界で最高のテナー・サックス奏者」と彼を評した事は有名で、私等世代のジャズ・ファンからすれば、ジャズ界における一つの時代が終わってしまったという感が拭いきれません。
今頃天国でジョン・コルトレーンとともに楽しいセッションを繰り広げている事でしょう。
R.I.P. Pharoah Sanders.