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2021.01.29


ジャズDJってジャズをかけるの?

 

 

 

 

 

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ホレス・パーランの”Congalegre”で踊るBrothers In Jazz !

 

 

 

 

 

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ホレス・パーランの”Congalegre”で踊るBrothers In Jazz !

2021.01.29
ジャズDJってジャズをかけるの?

皆様いかがお過ごしでしょうか?
時間の経つのは早いもので、新年を迎えたと思ったらあっという間に1ヶ月が終わってしまいますが、今年1回目のアーティクルをお送りいたします!!

 

 

今回は、最近一周、二週回ってよく聞かれる質問「ジャズDJってジャズをかけるのですか?、ジャズでどうやって踊るのですか?」について簡単に触れてみることにします。

 

DJとは(ここではトーク中心のラジオDJとは区別して)クラブやディスコで聴衆をダンスさせるためにレコードやCD、デジタル音源などで音楽をかける担当者を指します。
僕は89年頃からDJを始め細々ながら今や30年以上。
当時ディスコは華やかなものでユーロビートなんて音楽が流行していましたが、僕はあまりチャラチャラ(語弊がありますが)した音楽が好きではなくもっとアンダーグラウンドな、コンクリート打ちっぱなしの真っ暗なダンスフロアにストロボライトだけが光っているような所謂クラブと言われ始めたお店でヒップ・ホップ をプレイしていました。
そのお店では毎日日替わりでHOUSEやDISCO CLASSIC、HIP HOP、FUNK、REGGAEなど様々なジャンルの音楽がプレイされていました。
その中に一際目を引くジャンルの日がありました。JAZZ, LATIN, BRAZIL …。
えっ、DJがJAZZのレコードをかけるの?JAZZで踊れるの?
最初の疑問は皆さんと同じでした。
しかし疑問の答えが出る暇もなく耳にした言葉”ACID JAZZ”。
80年代初期のロンドンのDJに端を発し、80年代半ばに生まれた言葉で DJのポール・マーフィーやジャイルス・ピーターソン、クリス・バングス等がプレイしていた音楽、又ムーブメントのことを指し、ほぼ同時にロンドンで起こったDJノーマン・ジェイを中心とした”RARE GROOVE”ムーヴメントとも密接な関係を持っています。
後に僕のDJプレイもHIP HOPからRARE GROOVE、ACID JAZZへと傾倒していくこととなります。

 

ノーマン・ジェイはジェームス・ブラウン周辺など、すでに見過ごされてしまったレアな70年代ファンクを中心としたレコードをプレイ。
ポール・マーフィーやバズ・フェ・ジャズ、ジャイルス・ピーターソン等がプレイしていたレコードは所謂ジャズ愛好家が好むスウィングやビバップ等とは一線を画すものが多く、ファンキーなソウル・ジャズやART BLAKEY の “THE FEAST” のようにアフロキューバン、ラテンの要素を含んだりパーカッションがフィーチャーされたようなダンサンブルなジャズをプレイ。
どちらも過去の埋もれた音源を発掘し新しい解釈でダンス・ミュージックとしてプレイする点には変わりなく、ダンス・チーム  BROTHERS IN JAZZ はホレス・パーランの”Congalegre”でアクロバティックに踊り、JAZZボーカル、ダンスユニットのTHE JAZZ DEFEKTORSも登場。
そうした過去の音源とそうした音楽に触発されたマイナーではあるが新しいバンドの新音源を紹介するACID JAZZレーベル、新たにジャイルスが立ち上げるTALKIN’ LOUDレーベル。
こういったレーベルから、ブランニュー・ヘヴィーズやインコグニート、ヤング・ディサイプルズやジャミロクアイ等現行バンドが登場。
音楽的にはジャズをプレイしていたDJ達はロニー・リストン・スミス、ジョージ・デューク、ギル・スコット・ヘロン、アイアート・モレイラ等70’sジャズ・ファンク、ソウル、ラテン、ブラジリアン、フュージョン、現行のACID JAZZバンド、SOUL II SOULに始まるUK SOULやDUB、流れによってはMODSテイストなオルガンもの、ブラス・ロック、フォーキーなグルーヴィー・ロック等幅広くプレイするようになる。
90年代には新解釈のジャズ・ブームはジャズの本場アメリカにも渡りHIP HOPアーティストはこぞってジャズをネタにサンプリングし、HOUSEやTECHNOにもジャズのフレーズが使われたり、フュージョン的要素の混入、ラテン・ブラジリアン・ハウスが流行する。
UK DUBはジャングル、DRUM’N’BASSへと、ウエスト・ロンドンやドイツでは通常のハウス・テンポの楽曲やブレークビーツのリズム・フォーマットを崩しよりプログレッシヴにしたブロークン・ビーツ等を制作する4HERO、JAZZANOVA, DA LATA等ジャズの影響を受けたDJユニットが出現。
CLUB JAZZやNU JAZZ、CROSSOVER JAZZ等と呼ばれるようになる。
2000年代になると新世代のジャズ・ミュージシャン達が活躍。
コルトレーンの影響を受けつつHIP HOPやR&Bが普通に流れる時代に高度なJAZZの演奏技術を習得したジャズサックス奏者のカマシ・ワシントンはスヌープ・ドッグやフライング・ロータス等と共演。
ジャズピアニストのロバート・グラスパーは老舗ジャズ・レーベルのブルーノートからHIP HOPやR&Bと融合させたアルバム”BLACK RADIO”をリリースしグラミー賞ベストR&Bアルバムを獲得し音楽界に衝撃を与えた。
マイルス・デイビスがハード・バップ、モード、エレクトリック・ファンク、そして遺作となるアルバム”Doo Bop”ではHIP HOPとの融合を果たしたように、そしてハードバップ衰退以降ファンクやクロスオーバー、80年代にはディスコ、ブギー等の作品を残したジャズメンも多いように、ジャズは時代により進化していく音楽であり、ジャズDJがプレイする音楽も進化し続ける。
JAZZを掲げるDJがプレイする音楽は今や一聴してJAZZとは分かりにくかったり、あまりにもJAZZとかけ離れていると感じたり、もうJAZZではない音楽をプレイすることも多いのですが、過去にJAZZをプレイしていたDJがJAZZをふまえた上での現在進行形であったり、JAZZに影響を受けたアーティストが制作したダンス・ミュージックをプレイしていたりと簡単に説明することは困難ではあります。
しかしながらJAZZとは進化する音楽であり、HOUSEやHIP HOPのようにリズムのフォーマットや形式で縛られたジャンルではありません。
DJがプレイする音楽の真価はアティテュードだと思います。
結果的に言えば精神や音楽的バックボーンにJAZZが大きな割合を占めるDJがJAZZ DJ(JAZZ系 DJ)と呼ばれ、今や彼らは様々なジャンル(フォーマット)の音楽をプレイします。
最近よく聞かれるので個人的な見解として考えてみましたが、「JAZZ DJ」と呼ばれる本人達は特に「JAZZ DJ」だと思っていないDJも多いようですが…