Article
2019.01.19


音楽+ファション=カルチャー

2019.01.19
音楽+ファション=カルチャー

以前音楽は人に多大な影響を与えるものであった。

若者であれば、その後の人格形成にさえ大きな影響を与えるものであった。

今とは違いインターネットもアップル・ミュージックもない時代、音楽はムーブメントを巻き起こしカルチャーをも産みだす力を持っていた。

 

 

カルチャーやムーヴメントはある1つの要素だけでは起こり得ない。何かと結びついてこそ爆発的に発生する。

まず音楽と結びつくのはファッションであろう。

ファッションを見ればその人がどんな音楽を好んで聴いているのか見当がついた。

 

 

60年代、アメリカのフォークやロックはヒッピー・ムーヴメントを巻き起こし、時代とは逆行しロングヘアーやフレアパンツ、フォークロアなファッションが大流行した。

 

 

イギリス、カーナビー・ストリートにはモッズ達が三つボタンスーツにM-51パーカー、フレッド・ペリーに前髪を下ろしたモッズ・ヘアーでスクーターにまたがっていた。

 

 

NYアンダーグラウンドに始まったパンクはロンドンへ、セックス・ピストルズが結成されキングス・ロードにたむろする連中はヴィヴィアンのSEXやセディショナリーズで購入したハードなファッションに身を固める。

 

そして面白いのは、90年代を迎える前夜、ロンドンでソウルやレゲエ、ダブ等の要素をミックスし新しいリズム、”グラウンド・ビート”を産み出したSOUL II SOUL のデビュー・アルバム”Keep On Moovin’”のジャケットでJazzy Bが着ているのはヴィヴィアン・ウエストウッドのアーマー・ベスト。

この頃日本ではクラブ黎明期、パンクやニュー・ウェーブの流れからクラバー・ファッションとしてのヴィヴィアンを始めロンドン・ファッション・ブームが到来。

 

 

アディダスの紐なしスーパースターとカンゴール・ハットはHIP HOPのバイブル的ファッションに。首から大きな壁掛け時計をぶら下げてる奴もいたなぁ。

 

 

私の知る限り、私がジャズに傾倒しているということもあるが、90年代初期のアシッド・ジャズ・ブームがカルチャーとなり得た最後ではないだろうか。

ジャズというキーワードの元に様々なジャンルの音楽を取り込み、ダンスミュージックの中に意識することのなかった”ジャズ”を定義付けた。雑誌ではジャズ・ファッション特集が組まれ、集まる人々はジャズメンが着こなしていたようなクラシカルなスーツに身を固めるか、ダッファーなどのスポーティーなニット、またモッズ・ファッションの流用も見られた。

 

 

パンクを始めて聴いた衝撃、シンセサイザーや電子楽器が使われ始めた時の衝撃、サンプリングの衝撃、ターンテーブルを楽器として使いRAPをするHIP HOPが出現した時の衝撃。

これら全ては初体験であった。

この衝撃、衝動こそがカルチャーやムーヴメントを産み出すのではないでしょうか。

 

 

HIP HOP以降、音楽的衝撃は見当たらず、もちろん今の音楽も更新されてはいるが、それは寄せては消えていく小さな波のようでビッグ・ウェイヴではない。

 

 

現代のようにモバイルで良きも悪きも大量に羅列された音楽を個々に楽しむ時代、音楽が発生源となる新たなカルチャーやムーヴメントは起き得るのでしょうか。

 

 

そうだ最近ではEDMブームがあったっけ・・・・あぁ、嘆かわしい。